自分自身の学びを、今度は部下にも伝えていく。
短い工期で高品質が求められるアパレル店舗の施工。仕上げの1〜2mmにもこだわるシビアな調整。施工後の手直しの余裕もない厳しい工期の中で自分を鍛えてきた。最初は、設計者が仕様決定するのを待つばかりだった自分。「設計に “決めてほしい” と自分から促してないよね」という上司の言葉が、今ならより重要だと分かる。現場を動かすのは自分。身に染みたこの視点を今は部下にも伝えている。
経験して実感できることを、部下に言葉だけで分かってもらうのは難しい。伝わらなくて指導に感情がこもることもある。それでも発言に一貫性を持たせ、部下を迷わせずに導けるよう、自分自身もマネジメントする日々だ。
提案力がつくのは、分離発注だからこそ。
この仕事は、何年経っても新しい素材や技術に触れられる。外食時に入るお店だってすべて学びの対象だ。そんな日々のインプットと現場経験の蓄積があるから、自信をもってこの家具のつくりや建具の納まりがいいと提案できる。提案がカタチになるやりがいは、十数年、分離発注ですべての物件に真剣に向き合ってきたから得られるもの。
発注するには、自分で施工図を描き、協力会社様と直接やり取りをするからだ。その中で得た “気づき” が、何よりの学びとなった。今は目の前の業務で手一杯だと感じている若手にも伝えたい。いずれはそれが「あなたに頼みたい」と選んでいただける道につながっていると。